近代(1800年代)
●ウィリアム・プレイフェア(William Playfair)
ウィリアム・プレイフェア(1759 – 1823) は近代グラフの発明者である。この時点で現代のグラフの基礎の多くが提示されてる。彼は、棒グラフ、線グラフ、円グラフを発明したが、その時代の彼のグラフと現代とでは基本的にほとんど変わっていないと言える。
棒グラフ
1565年から1821年の間での、英国における穀物の値段と労働者の賃金を比較している。棒グラフと線グラフの組み合わせ。
線グラフ
デンマーク・ノルウェーに対する英国の輸出入の遷移。1755年ごろから英国の輸出が輸入を上回り始めている。
点と点を結んでいるというよりは、なめらかな曲線になっているのが面白い。
円グラフ(棒グラフとの組み合わせ)
横軸は時間の棒グラフで、縦軸は貿易額を表したグラフ。
大国の力の推移を読み取ることができる。
●フローレンス・ナイチンゲール(Florence_Nightingale)
ローズ・ダイアグラム
有名なナイチンゲールのローズダイアグラム。クリミア戦争時の兵士の死亡原因が、不衛生な環境による感染症等が大きな要因であることを示している。
●シャルル・ジョゼフ・ミナール(Charles Joseph Minard)
ロシア戦没地図: この作品も、データヴィジュアライゼーションの歴史資料として必ず出てくる。ナポレオンのロシア遠征の際に、兵士の人数の減少傾向を視覚化している。
地図と円グラフの組み合わせ
1920~30年代
●オットー・ノイラート(Otto Neurath)
データ・ヴィジュアライゼーションの歴史を語る上で、最重要人物の1人。オットー・ノイラートは、ウィーン生まれの哲学者、社会経済学者だが、彼が提唱したピクトグラム(図像によるシンボル)を使った統計データの視覚化手法は、アイソタイプ(International System of Typographic Picture Education)と呼ばれ、その後のインフォ・グラフィックスの歴史に大きな影響を与えた。彼自身がデザインしているわけではなく、その完成度の高いグラフィックスは、ゲルト・アルンツ(Gerd Arntz)との共同作業によって生み出されている。
これらの功績は現代のインタフェースデザインにおける、アイコンのデザインにも影響を与え続けていると言っていいだろう。
●ウィラード・C. ブリントン(Willard C. Brinton)
Graphic methods for presenting facts
地図内の地域ごとの数値を様々なデザインで表記する。現代でも使われている一般的な方法。
1960~70年代
●ジャック・ベルタン(Jacques Bertin)
ジャック・ベルタンは、デザイナーというよりも、データヴィジュアライゼーションの研究者としての功績が大きい。感覚的になりがちな視覚化の過程を詳細に分析し、構造的な解釈を与えている。
下図は、視覚化の際の方法論。非常に簡潔にまとまっている。静止画についてはこの方法論でほとんどの視覚化が説明できるいってもいいだろう。
地図上での定量的データの視覚化パターン。一般的な方法よりはむしろ実験的なスタディ。
視覚化のパターンを表にしている。
1970~80年代
●ナイジェル・ホームズ(Nigel Holmes)
ナイジェル・ホームズは、グラフィックデザインの要素の強いインフォグラフィックスを多数生作成している。データの視覚化は、ただ数値を形や色に変換するだけでなく、そこに楽しさ、インパクト、親しみやすさなどを盛り込むことによって、人の注意を引きつける役割も必要だということがわかる。
1980年代
●エドワード・タフティ
エドワード・タフティは、統計、政治科学、コンピュータサイエンスなど多岐にわたる分野に精通している。情報デザインやデータ視覚化のパイオニアとの評価が高い。デザイナーというよりも理論家、研究者としての功績が多い。
情報デザインに関する以下の4冊の著書がある。
The Visual Display of Quantitative Information
Envisioning Information
Visual Explanations: Images and Quantities, Evidence and Narrative
Beautiful Evidence
1990年代:インターネットにおける表現(ネットアートなど)
1990年代以降は、インターネットの普及やその関連技術の劇的な進歩によって、データヴィジュアライゼーションの展開は新しい時代に入った。主にウェブブラウザ上で見ること可能なコンテツンが多数発表された。この中で特筆すべきは静止画を主体としたインフォグラフィックスとは違い、アニメーショアニメーション、インタラクションがその視覚化において重要な役割を担っているという事実だろう。このことによって、それまでは主にグラフィックデザインの問題だった視覚化に、プログラマーが積極的に関わってくることになる。
http://newsmap.jp flash playerが必要
http://internet-map.net
http://www.theyrule.net flash playerが必要
2000年代以降:ビッグデータ、オープンデータ、データジャーナリズム
●ビッグデータ
ビッグデータとは、従来のデータベース管理ツールやアプリケーションなどで処理することが困難な、巨大なデータ集積物を指す。
例としては、ソーシャルネットワーク、インターネット文書、天文学、大気科学、ゲノミクス、生物地球化学などの大規模データを挙げることができる。
だが、どういったデータをビッグデータと呼ぶのかは、実は明確な定義はない。
●オープンデータ
オープンデータとは、特定のデータが著作権や特許などの制限なしで、すべての人に提供されれるべきという考え方。近年は特に各国の政府や自治体が積極的に提供している例が多い。
オープンデータとは(Wikipedia)
●データジャーナリズム
オープンデータなどを積極的に利用し、データを分析し視覚化することによって、特定の社会問題を論じる手法。報道機関などが近年この手法を用いてニュースや記事などを書いているケースが多い。
http://china.fathom.info
http://www.nytimes.com/interactive/2012/02/13/us/politics/2013-budget-proposal-graphic.html?_r=0
http://www.foodradiation.org/map/
日経新聞の取り組み
https://vdata.nikkei.com/
2012年から行われてているデータ・ジャーナリズムのコンペティション。歴代の受賞作品を見ることができる。
Data Journalism Awards
Information Is Beautiful Awards