前の画像処理1の内容は、原理的なことに触れているので、結構難しかった人もいるかと思います。
今回は、インタラクティブアート作品に利用するためのより実践的な方法を学びます。
まず、これから扱うプログラムを正常に動かすために、露出固定が可能なカメラを使用してください。MacBookなどに搭載されているカメラやUSBカメラにはこのような機能が付いていないので、Firewire (iLink)が付いているDVカメラなどが一番適しています。
インスタレーションなどに使う場合は、Firewireの長さに限界がある(最長4.5m)ので、長く繋ぎたい場合には、通常のビデオコードをカメラに付け、パソコンには、アナログ-DVコンバータで接続します。
1. フレーム差分
まずは、カメラの前で対象物(人など)が動いた場合に、その変化量を計算するプログラムです。
これを画像処理の用語で「フレーム差分」と言います。前のサンプルよりはかなりコードが長くなっていますが、基本的に前の実習の応用です。
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movementSumに動いたピクセルの総数が代入されます。
この場合は640 x 480の画面なので、フレームごとのピクセルは307200ピクセルとなります。
ですから、動作量は0 ~ 307200の値を取ります。
これは単純にint型の変数なので、少し動いた、かなり動いた、激しく動いたなどという動作量を扱うことができますね。
2. 背景画像の黒抜き
次は、フレーム差分の応用で、「背景画像の黒抜き」です。
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画面上のマウスクリックによって、backgroundPixelsにその時点の画像が保存され、その保存された画像と現在の映像を比較して変化した部分だけに映像が表示されます。
参考:人の動きに反応する円
このサンプルは、人が動いたところにだんだん拡大しながら消えていく円が生成されるプログラムです。
基本的に、今回の実習の範囲内の知識で作ることができます。
多少コードが長くなっていますが、興味のある人は参考にしてみてください。
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