1-1. 授業の概要

2007年度メディア表現演習III前期は、ProcessigというJavaをベースにした開発環境を使用してプログラミング言語の実習を行ないます。これは、学部3年生のプログラミングの習熟度にばらつきがあるという問題と、インタラクティブアート作品を作るにはプログラムの知識がなければ始まらないのだという問題があるからです。

このような実習を行なうと学生は決まって「Processingを勉強している」と思いがちです。例えば、「最終的にFlashとかMax/MSP使っている学生が多いのに、Processingをやる必要はあるんですか?」という質問をしてきます。
しかし、ここではProcessingを勉強しているのではなく、Processingを使ってプログラミング言語のエッセンスを学習しているのだと認識する必要があります。よって、ここで学習した知識は他の言語(Java, ActionScript, Max/MSP, C, C++, Objective-C, C#など)への応用が可能です。つまり、この実習はメディアアート作品の制作に必要な基礎体力をつける場なのです。
ですから、この授業が目指すものは、最低限のプログラミングの知識さえ確認しておけば後はなんとか自分自身で勉強できるレベルまで持っていくということです。

また、この実習は通常のプログラミング言語実習と違い、表現的な要素(グラフィック、サウンド、インタラクションなど)に重点を置いています。つまり、この実習はプログラミング言語の実習だけでなく、数学的アルゴリズムをどのように表現に置き換えていくかという点が重要な問題となっているのです。

前半は、構成要素を「点」のみに絞って基本的なアルゴリズムの実習と、その表現のバリエーションを追求します。後半はもう少し技術的な要素を広げてサウンド、ネットワーク、画像処理などにも触れ、最終的に一つの作品を完成させる形をとっています。