2013年度 3年ゼミ概要

授業概要

野口研究室は、以下のキーワードに関連するプロジェクト/作品制作を行ないます。

ソフトウェアデザイン、インフォメーションデザイン、インタラクティブアート

基本的にはソフトウェア開発を中心に作品制作や研究を行います。作品としてはスマホ/タブレットアプリ、サウンドヴィジュアライザ、VJシステム、A.R.などがあります。Max/MSPやQuarz Composerなどのヴィジュアルプログラミング環境も含みます。
 

学生への要求条件

やる気がある人。作品制作の基盤としてインフォメーションデザインの実習とプログラミングの実習が中心ですが、習熟度は問いません。ゼミでのカリキュラムは基礎的なところから復習します。アイデア/企画力と実現能力の両方を高めたい人を希望します。
 

習得する能力の目標

1. 芸術的な感性と工学的な技術開発能力の洗練
2. 授業内での発表やディスカッションによる、プレゼンテーション能力の洗練
3. 自身のプロジェクトのリサーチや文献研究を通した、リサーチ力の養成
4. 自身でイベントを企画/運営することによる、プロデュース能力、ディレクション能力、社会性の養成
 

目標とする人材

頭も手も体も動く人
 

授業内容

3年前期は、基礎的なインフォメーションデザイン実習とprocessingを使ったプログラミング実習によって、ソフトウェアデザイン/アート作品制作の基本を復習します。

後期の前半は、openFrameworksを使用して、より拡張性の高いソフトウェアデザイン/アートの制作環境を学習します。
参考:http://www.openframeworks.cc/
また、後期はプレゼンテーションおよびディスカッションを中心とした授業運営を行います。

さらに、後期Tokyo Designers Weekに参加する予定です。予算はゼミ費から出ますが、この展示運営における予算編成、広報関連の実務を通して、自主的に表現の場を作り、社会との接点を探ることの意味を考えます。
http://www.tdwa.com/
 

教員の専門領域

以下のサイトを参照のこと
http://r-dimension.xsrv.jp/
 

教員の得意分野

<領域>
ソフトウェアデザイン全般、メディアアート全般、グラフィックデザイン(元々はこの分野の出身)、現代美術(今やっている)、都市論、文化人類学(現在、人類学者と共同研究中)

<技術>
画像処理プログラミング、Processing、Quartz ComposerやMax/MSPなどのビジュアルプログラミング、Objective-C(Cocoaアプリケーション)、OpenGL、C言語、ActionScript、PHP、MySQL、映像編集など
 

学生の参考作品

●2009年度2年グラフィカルプログラミング演習参考作品
(サウンドヴィジュアライザ)
Processingで音の周波数解析を使い、音楽にグラフィックがリアルタイムに反応するサウンドヴィジュアライザを作成している。
ドキュメントビデオ

●2008年度2年グラフィカルプログラミング演習参考作品
(インタラクティブアート)
Processingを使い、リアルタイム画像処理、ネットワーク、サウンドなどを使ったアート作品を制作した。
ドキュメントビデオ

世界万別 鈴木遼(2007年度卒業)
世界に存在する様々な格差を「地域」、「宗教」、「言語」という切り口から、膨大なデータを駆使して分析しようという試み。Flash ActionScriptを使用している。
 

前期スケジュール

1. 4月17日 顔合わせ 自己紹介

2. 4月24日 タイポグラフィ1

タイポグラフィとは
和文/欧文フォント
フォントファミリー
サイズ/カーニング/トラッキング/行間

参考サイト:
the 100 best fonts
優れた欧文書体21 Fonts

3. 5月1日 タイポグラフィ2

4. 5月8日 タイポグラフィ3

5. 5月15日 色彩

6. 5月22日 レイアウト1

7. 5月29日 レイアウト2、講評

8. 6月5日 オープンキャンパス準備

9. 6月12日 プログラミング実習1

変数while・for構文if構文アニメーションインタラクション

10. 6月19日 プログラミング実習2

1次元配列の理解2次元配列の理解sine-cosine

11. 6月26日 プログラミング実習3

openFrameworks入門(OS X用)
iOSデバイス(iPhone・iPad)実機テスト

12. 7月3日 プログラミング実習4

openFrameworks入門 (iPhone)基礎

13. 7月10日 プログラミング実習4

openFrameworks入門 (iPhone)サウンド
iPadアプリ用のスケッチ、制作
iPhoneアプリ制作

14. 7月17日 制作

15. 7月24日 講評

 

前期課題

■タイポグラフィ課題

【小課題1】

「minamimon」という文字の並びを、スペーシングによって調整する。書体はHelvetivaのレギュラーを使用する。
パターン1. 一番狭いスペースに合わせて調整する。
パターン2. 一番広いスペースに合わせて調整する。
パターン3. 1,2の中間に合わせて調整する。

さらに、自身の氏名をアルファベット大文字にして、上記のパターン1, 2, 3をおこなう。

【小課題2】

テンプレート内の四角形の中で、二種類の文章を和文で組んでみる。その際、左と右の四角形の中に入れるテキストは、対照的な内容のテキストを使う。
例:悲しい文章・明るい文章、荒々しい文章・繊細な文章 など
そして、書体、サイズ、ウェイト、字間、行間によって、二種類の文章のイメージに明確な差を付ける。

青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)や自分で探して来た本の内容をタイピングするなどする。

●条件
・選んだ文章のタイトル・作者・自身が考えるイメージを上部に記入する。
  例:人間失格・太宰治(暗いイメージ)
・極力イメージが対照的、もしくは差がある文章を選ぶ。
・長体や平体の加工をおこなわない。
・テンプレートのボックスの中は全てテキストで埋まっている状態にし、提出時にそのテンプレートの黒枠は消去する。

テンプレート:typo2_template   

【小課題3】

●画面構成要素としてのタイポグラフィ
自身のアルファベットの文字(例:Yasushi Noguchi)を使って、自分自身を表現する。例えば、自分の性格が穏やかだと思ったら、緩やかなフォルムをもった書体を選んでその構成要素でデザインする。また逆に激しい性格だと思ったら、激しいイメージに近い書体を選ぶ。

●条件
・欧文書体の中から1書体選んで構成する。
・A4横位置中央に、15cm x 15cm の正方形の枠を作り、その中で表現する。枠は黒で0.5ptとする。
・画面内の色は白・黒・グレーのみ。
・名前として読める必要はないので、あくまでも画面の構成要素として文字を解釈すること。
・大文字、小文字はそれぞれすべて使っていい。(大文字だけ、小文字だけという選択も可)
・自分の名前の文字の要素はすべて使用する。
  Yasushi Noguchiだとしたら、「Y, a, s, u, h, i, N, o, g, u, c」は必ず使う。
・それぞれの文字は何度使ってもいい。例:iを10個作る。
・書体の縦横の比率は変えない。透明度は設定してもいい。

●ポイント
タイポグラフィを、文字ではなくて形態やイメージとして捉える。
どの書体のどの部分の形が美しいもしくは面白いかを探して構成する。

■色彩課題

一辺10cmの正方形の枠を2つ横に配置する。正方形同士は2.5cm離す事。さらに、その中を一辺2.5cmのグリッドで仕切ると一辺1.5cmの正方形が16個ずつ作成される。
この中に、それぞれ16個の画像を貼付けて、対立するイメージの画面を構成する。例:暖かい⇄寒い

●条件
・画面はA4横位置とする。
・画像は必ず自分でデジカメやスマフォで撮影してくる。画像は自由にトリミングし、選んだイメージに合う画像を貼付ける。
・変形や色調補正をソフト上でおこなってはいけない。
・一つ一つの画像は2.5 x 2.5cmにする。
・黒い枠は作業終了後削除する。

●ポイント
・この課題は、一つの画面のイメージを画像の色彩と形態によって表現するトレーニングです。
・例えば、「暖かい」イメージを構成するためには、柔らかい線や面と暖色系等の色などを選ぶ。

教員用テンプレート

■レイアウト課題

・課題内容

A4画面上に150 x 150mmの正方形を取り、それを縦横6分割した一辺25mmのグリッドを作成する。
与えられた写真のどちらか一つと下記のテキストを必ず入れて、3パターンのデザインのバリエーションを作り出す。

・使用する文章

LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで
会  期: 2013年4月26日(金)-9月1日(日)
会  場: 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)

今こそ、愛を
愛は人間にとってかけがえのないものです。森美術館は10周年を記念して、この「愛」というテーマを掲げ、美術史を彩る名作や意欲的な新作を含む約200点を通して、愛のかたちを探ります。恋愛から始まり、家族愛、人類愛へ広がる愛のかたち。ときに憎しみや嫉妬にもつながる愛の複雑さ。また、あらゆる対立を超越する愛の力。さらにはインターネット社会における新たな絆など、愛の諸相を描く名作を紹介します。

・条件

・A4横位置を使用する。テキストは必ずしも可読性は重視しない。
・画像やテキストは複製して使っても構わない(何回使ってもいい)。回転もOK。
・画像の色は変えてはいけないが、重なったテキストの可読性を高めるために半透明の色を重ねるのはOKとする。
・二つあるうちの画像のどちらかを選んだら、かならずその一つの画像で3パターン作る。

・使用画像

images

・使用する書体

以下の書体のうちのどれかを使う(全部使ってもいい)。
・ヒラギノ角ゴ
・ヒラギノ明朝
・Helvetica
・Times

・参考URL

http://www.mori.art.museum/contents/love/about/index.html

■最終課題

iPad上で作動する「時計」を作りなさい。

条件:
・現在時刻が分かる機能
・「秒・分・時・日」の視覚的な表現
・サウンドを利用してもいい
・必ずしも一般的な時計の概念にとらわれる事なく、自由な発想で「時間」を表現してください。
 

後期スケジュール

9月〜10月 Tokyo Designers Week 2013の準備

11/5 全体説明・進路指導

11/12 アプリ制作課題 企画案プレゼン1

 プレゼン5分 質疑応答15分

11/19 企画案プレゼン2

 プレゼン5分 質疑応答15分 

11/26 ディベート

ポートフォリオ提出(プリント)
参考サイト:
 http://www.youtube.com/watch?v=GRGWem5xL4I
 http://www.youtube.com/watch?v=dylLJaklDXM
 http://www.youtube.com/watch?v=8x5omU_gq9E

12/3 個人面談・進路指導

12/10 途中経過報告(プレゼン)

 プレゼン5分 質疑応答15分

12/17 個人面談・進路指導

1/7 途中経過報告・展示の打ち合わせ

1/14 最終発表

1/15 3年次発表

 学科全体での発表
 

後期課題

■アプリ制作課題

「人を幸せにするアプリ」がテーマ
・作品形態は、スマホ、タブレット、PC、インスタレーション等、特に制限はない。
・開発環境は各自で決める事(例:Processing、openFrameworks、Flashなど)
 

評価基準

出席は前期、後期それぞれの日程の2/3以上。この出席には、発表会、展示、講評会などが全て含まれます。
前期・後期とも共通の採点基準: 出席 –> 50% 小課題 –> 15% 最終制作 –> 25% 授業参加 –> 10%
ディスカッションが多いので、積極的に参加すること。
 

卒業後の主な進路

Webデザイナー、Webディレクター、システムエンジニア、アーティスト など